透明ポリアミドトロガミド^®

私たちの日常生活の中には、色々な透明樹脂があります。代表的なもので言えば、レンズなどの光学用途などで多く使用されるPMMA（アクリル樹脂）やPC（ポリカーボネート）などです。これらの樹脂は、いわゆる非晶性樹脂と呼ばれ、樹脂が冷え固まる時に、樹脂内の分子が不規則に絡み合ったまま固まるため、結晶をつくりません。結晶がないことにより光が透過できるため、非晶性樹脂のPMMA、PCなどは透明になります。

一方で、一般的にPMMA、PCなどの非晶性樹脂は耐薬品性が弱い傾向があります。それに対して、透明ポリアミドのトロガミド^®は結晶性脂でありながら、その結晶の小ささ（微結晶）により光が透過するため透明性を有するという特長を持った高機能な樹脂です。この微結晶により、トロガミド^®は非晶性樹脂のPMMAと同等の高い透明性を持ちながら、優れた耐薬品性を示します。これにより、トロガミド^®は様々な耐薬品性が求められるアイテムに使用することができます。一例としては、サングラスのレンズ、マニュキュア容器、オイルを入れるためのケースなどが挙げられます。また、昨今は日用品なども、アルコール消毒をする機会が増えていますが、トロガミド^®はそのようなアルコールへの耐性もある樹脂です。

トロガミド^®の優れた耐薬品性を示す一例として、写真のように、トロガミド^® 、PCの各々試験片に日焼け止めクリームを塗布し、一定の温度環境で保管した後、クリームを水で洗い流し、試験片の外観を確認しました。その結果、耐薬品性が高いトロガミド^®は試験片の外観上に変化がないことが確認出来ますが、PCは表面上に微細なケミカルクラックのような白化を確認出来ます。このように、微結晶性樹脂のトロガミド^®は一般的な非晶性透明樹脂と比べて、優れた耐薬品性があります。

トロガミド^®は結晶性樹脂でありながら高い透明性があります。グラフの通り、可視光領域における透明性が高く、このため光学部品などへの使用も出来る材料です。

さらにトロガミド^®には高い耐候性もあり、紫外線の影響による変色が少ない材料です。グラフに示す通り、トロガミド^®はPMMAと同等レベルの優れた耐候性を有しています。そのため、屋外で使用されるアイテムにも使用可能な材料です。

トロガミド^®は耐衝撃性が高い材料です。落錘試験を実施した場合でも、トロガミド^®は割れが起きません。
その上、トロガミド^®は耐疲労性がある材料のため、繰り返しの応力がかかるような環境下でも使用が可能です。また、日本の食品衛生法、アメリカ食品医薬品局（FDA）、欧州食品安全機関（EFSA）にも安全性が認められた樹脂です。そのため食品関連のアイテムにも使用出来ます。トロガミド^®には、環境に配慮したトロガミド^® eCOシリーズというグレードもあります。当グレードは、バイオマス由来原料や、製造時に使用する電気を再生可能エネルギーにすることにより、製造時の炭素排出量をマスバランス方式により、削減しています。

ポリプラ・エボニックはトロガミド^®のペレット以外にも、トロガミド^®をフィルム化したCXフィルムもラインナップしています。
トロガミド^® myCXが本質的に有する耐薬品性、光学特性、耐候性を損なわないまま、フィルム化に成功しています。ディスプレイやレンズ等のシビアな光学用途にも使用できる高い品質を有しています。

• CXフィルム物性一覧（0.5MB）