接着技術K&K
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ポリプラ・エボニックの接着技術
ポリプラ・エボニックが得意とする技術の一つに、「接着」があります。
接着技術を用いて複数の材料を組み合わせることで、以下のようなメリットが得られます。
- 製品の軽量化
- 製造プロセスの効率化
- デザインの自由度の拡大
このページでは、まず、機械的接合と比べた接着的接合のメリットをご紹介いたします。その後、ポリプラ・エボニックの接着技術の一部をご紹介いたします。
当社が得意とする接着的接合の対極に位置するのが、ビスやネジを使った機械的接合です。機械的接合と接着的接合の一般的な長所と短所を表1にまとめました。
表1の中でも、機械的接合に特徴的なのが接合部の応力集中です。これを簡易的に示したものが図1です。接着的接合は「面」で被着材をとらえることができるため、機械的接合に現れる接合部の応力集中を避けることができます。
接着技術の事例紹介1:ポリアミドとゴムとの直接接着技術
この技術は、プラスチックとゴムの界面に、プラスチックとゴムの架橋層を形成することによる接着技術です。接着剤を使用するときのような接着前の表面処理や、塗布後の溶剤乾燥などの後処理は不要となっており、また、適当な架橋剤を選択してやれば樹脂とゴムの親和性にはあまりとらわれず接着が可能です。既に欧州では自動車用途に、日本では弱電のシーリング部品等に採用事例があります。これらの採用理由の主なものは、工程の簡略化によるコストダウンと、直接接着による部品の高性能化です。
この技術をPA12やPEBAといった融点の低いポリアミド類のフィルムに応用し、R-COMPO®と呼ばれるポリアミドフィルムとゴムを複合化したフィルムを上市しました(図2)。R-COMPO®は、スポーツシューズの靴底などに採用されています。
R-COMPO®は、ゴムソールに比べて軽量であることに加え、高いグリップ力が特徴です。
接着技術の事例紹介2:ポリアミドとTPUとの直接接着技術
ポリアミドとゴムとの接着技術の派生として、ポリアミド系樹脂と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)との接着があります。従来のような親和性での接着ではなく、界面での反応を利用したものであるため、以下のような性能面でのメリットを享受できます。
- 接着強度が高い
- 高温環境下でも接着強度が低下しない
また、以下のような工法面でのメリットもあります。
- プライマーなどの溶剤を使用する必要がない
- 接着する前の煩雑な操作が不要
- ポリアミドを先に成型しておいてインサートし、TPUを後打ちすることで接着可能
これらの特徴は、工法の自由度の高さにも繋がります。工法の自由度は、金型設計の簡素化にも繋がり、コストダウンの効果も大きくなります。さらに、デザインの自由度も向上させます。例えば、シューズのスタッドの形状をよりシンプルにすることも可能です。
剥離強度のデータを下記に示します。共にショア硬度が60D程度である従来のPEBA(ポリアミドエラストマー)と、当社の特殊PEBAであるダイアミド® E62K2の、インサート材の保管時間と接着強度を比較した結果が図3です。上の2つのグラフはインサート材がTPUである場合のデータ、下の2つはインサート材がPEBAである場合のデータであり、いずれも右側のグラフがE62K2のものです。
TPUインサート、PEBAインサートどちらのプロセスでも、K2がより強くかつより安定した接着強度を有していることがわかります。また、それは成型後にインサートするまでの保管時間でも大きく影響されず、安定して高い接着強度を示していることがわかります。