ポリアミド12とは?ダイアミド®/ベスタミド®/ベストジント®
- HOME
- ポリアミド12とは?:ダイアミド®/ベスタミド®/ベストジント®
ポリアミド6、66とポリアミド12の違い
皆さんは日常生活の中で一度は「ナイロン」という言葉を耳にしたことはあるのではないでしょうか。この「ナイロン」の正式名称は「ポリアミド」と呼ばれる樹脂です。樹脂はプラスチック、ポリマーとも呼ばれます。ここでは「樹脂」と表記します。
このポリアミドには色々な種類があり、代表的なものでは、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)があり、これらは衣類の繊維などに使用されている樹脂です。
また、これらポリアミド6、ポリアミド66は、世界全体のポリアミド系の年間販売数量のうち、約8-9割を占めるほどの多く使用されている樹脂で、使用されている分野も多岐に渡ります。例えば、先程も例に挙げた衣類などの生活用品以外には自動車、産業用途の部品などに多く使用されています。これら膨大に使用されているポリアミド6、ポリアミド66は、樹脂の特長としての高い耐熱性、靭性や優れた耐薬品性などがある反面、水を非常に吸いやすい材料であることも特長の1つです。そのため、水に触れる環境、または湿度が高い環境下では、水分を吸ってしまうことで、膨張などの変形がしやすい素材です。このため、製品の寸法精度を必要とする用途の場合、ポリアミド6やポリアミド66は使用に適さないケースがあります。また、ポリアミド6、ポリアミド66は、その高い吸水性のため、機械的物性である引張、曲げ、衝撃強度などが変化しやすい材料です。これに対して、ポリプラ・エボニックのポリアミド12(PA12)のダイアミド® 、ベスタミド®などは、ポリアミド系の中では吸水率が非常に低い樹脂です。そのため、寸法安定性に優れており、安定的な機械物性を示します。
寸法安定性に優れた低吸水なポリアミド12
例えば、吸水率についてはグラフ1に示す通り、ポリアミド6、ポリアミド66と比較した際に、ポリアミド12は低い吸水率であることがわかります。特に水中環境下の平衡吸水率においては、ポリアミド6やポリアミド66との吸水率と比較して、ポリアミド12は約1/6程度の低吸水な材料であることがわかります。
ポリアミド12、11、66、6の吸水率の比較
軽量化に寄与する低比重なポリアミド12
低吸水以外にポリアミド12の特長としては、低比重であることも挙げられます。グラフ2の通り、他の樹脂と比較した際にポリアミド12は比重がかなり低いことがわかります。これは、ポリアミド12が様々な分野における軽量化というメリットをもたらすことに繋がります。例えば、自動車分野では金属製の配管から樹脂製の配管に切り替えることで車体の軽量化に貢献します。また、スポーツ分野ではポリアミド12はシューズのソールに使用されており、シューズの軽量化、履き心地の良さを実現しています。
色々な樹脂の比重の比較
優れた柔軟性のあるポリアミド12
また、ポリアミド6、66は高い剛性があるのに対して、ポリアミド12は優れた柔軟性があります。このことは、ギアなどにポリアミド12を使用した際に、ギアの駆動時の消音効果に繋がります。また、ポリアミド12は樹脂チューブや、ケーブルなどの被覆にも使用されています。ポリアミド12の優れた柔軟性の効果により、チューブなどの取り回しのしやすさや、曲げ加工などのしやすさに貢献しています。
ポリアミド12が使用されている自動車向けの燃料配管やシューズのソール
低温時の耐衝撃性と耐薬品性に優れたポリアミド12
さらに、ポリアミド12は耐衝撃性にも優れています。特にマイナスの温度環境下においては、ポリアミド6、ポリアミド66と比べて、ポリアミド12は高い靭性があるため、割れづらい材料です。例えば、自動車分野では使用環境温度がマイナス温度環境下を想定する必要があります。そのため、その温度環境下での衝撃などの耐久性が必要とされますが、ポリアミド12はそのような厳しい要求仕様もクリアできる優れた材料です。それ以外にも、ポリアミド12は耐油などの耐薬品性にも優れています。特に自動車分野においては、ポリアミド6、ポリアミド66と比較した際には融雪剤の成分である塩化カルシウムへの耐性を有しているのも特長の1つです。
ポリアミド12が使用されているギア、自動車向け冷却配管、ケーブル被覆、医療用バルーンカテーテル
様々な加工性に優れたポリアミド12
ポリアミド12は、さまざまな形に加工することが可能です。米粒状のペレット形状以外にも、粉体塗装や3Dプリンターの造形材料として使用されるパウダー形状やフィルムに加工することも可能です。
この高機能なポリアミド12は自動車はじめ、一般工業産業、スポーツ&ライフスタイルなどの幅広い分野で使用されています。ポリアミド12のダイアミド®、ベスタミド®が、他にもどのような分野、用途で、どのように使用されているかは以下より確認出来ます。